宅配の形態は対面配達が主流、宅配BOX利用は18.5%
「通信販売・消費者調査2023」から読み解く通販/EC消費者トレンド
物流・運送業界の「2024年問題」迫る
新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い、経済も復調傾向となっていますが、物流・運送業界では「2024年問題」が大きな課題となっています。
2024年問題とは、働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる問題の総称です。他産業に比べて劣る待遇や労働時間、女性進出の遅れ、通販市場の拡大により宅配便個数が2022年度に初めて50億個を超えたと言われるほど増えており、野村総合研究所の試算では、2030年には予測される国内の荷物量の35%が運べなくなるとしています。
こうした状況で、通信販売を利用している消費者は宅配に関してどのような意識を持ち、利用行動をとっているのかを調査しました。
調査結果サマリー
宅配の形態は対面配達が主流、宅配BOX利用は18.5%
宅配の形態は、時間指定した対面配達(55%)、時間指定しない対面配達(48.3%)がトップ2ボックスとなり、宅配BOXを利用しない置き配(玄関やその他指定の場所指定)が3割越えの35.8%となりましたが、宅配BOXを使った置き配は18.5%、PUDOといった宅配ロッカー利用者も11.8%と、割合としては多いと言えない状況です。
調査の詳細資料には記載しましたが、性別の集計では、女性が置き配に抵抗があるのか、男性に比べて利用率が低く、時間指定した対面配達のスコアが高くなっています(詳細は資料をダウンロードすることでご確認いただけます)
また、年齢別の集計では、生活スタイルの違いにより20~30代では、コンビニエンス受け取りや、宅配便ロッカー(PUDOなど)の利用が、他の年代より高いことが確認できました。
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フルバージョンでは、設問によって「性別」または「年代別」のクロス集計なども掲載しています。
宅配ブランドの認知率は、宅急便(ヤマト運輸)、ゆうパック(日本郵便)、飛脚宅配便(佐川急便)の順番
宅配ブランドの認知率では、ビッグ3といわれる「宅急便(ヤマト運輸)85.7%、ゆうパック(日本郵便)79.2%、飛脚宅配便(佐川急便)61.3%」がトップ3を占める結果となりました。
とはいえ、フクツー宅配便(福山通運)とカンガルーミニ便(西濃運輸)の認知率も30%を超えており、ビッグ3以外の宅配ブランドについても、通販利用者にはある程度なじみがあるようです。この調査対象が日本国内を対象にしていることもあり、有名ブランドに偏ることが無く、首都圏以外でも活躍している宅配ブランドも認知率があったと推測されます。
いちばん届けてもらいたい宅配ブランドは、宅急便(ヤマト運輸)64.5%のひとり勝ち状態
届けてもらいたい宅配ブランドをひとつだけ選んでもらったところ、トップは宅急便(64.5%)。2番目のゆうパック(16.2%)とは、48.3ポイントという大きな差が生じ、宅急便のひとり勝ち状態です。これも、想定内の結果ではありますが、正直ここまで差がつくとは思いませんでした。
2番手となったゆうパックと飛脚宅配便は5.5ポイント差で、ダントツ1位の宅急便を除くと、認知率ほど差がついていない、ともいえるかもしれません。
【飛脚宅配便(佐川急便)】は「ていねい、親切」で高スコア
回答に見る特徴
いちばん通販商品を届けてもらいたい宅配ブランドを選んだ理由を聞いてみたところ、宅急便が多くの理由の項目で平均的にスコアが高くなっていることもあり、前問の「いちばん届けてもらいたいブランド」のトップになったと考えられます。一方、「品物をていねいに取り扱ってくれる(39.1%)」「親切(37.5%)」の2項目で他ブランドより高スコアだったのが飛脚宅配便で、親切のスコアではゆうパック(20.6%)の2倍弱のポイントとなりました。飛脚宅配便の回答数が64と宅郵便(n=387)、ゆうパック(n=94)と比較すると少なかったため、やや偏りが出ていることも考えられますが、傾向として大きな誤差はないでしょう。
フクツー宅配便、カンガルーミニ便は回答数が50未満で数値のばらつきが大きいことが考えられるため集計対象とはしませんでした。
物流・運送業界の「2024年問題」に個人でできること
通販利用者の宅配への意識や利用行動を見てきましたが、物流・運送業界の「2024年問題」にたいして個人でできることとしては、宅配の再配達をなるべく避けることでしょう。
そのために、確実に荷物が受け取れる場所と連絡先情報を提供し、万が一の不在時の対応として配送業者の指定する受け取り期限や再配達オプション方法も事前に確認するなども必要かと思います。
また、オンライン追跡サービスを利用して配送状況を把握し、必要に応じて早めに配達時間を変更するようなサービスを、何らかの形で宅配各社は提供していると思われますので、そうしたサービスを積極的に活用し、柔軟に対応できるよう心がけたいものです。
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フルバージョンでは、設問によって「性別」または「年代別」のクロス集計なども掲載しています。
調査概要
調査エリア | 全国 |
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調査対象者 | infoQ by GMO調査パネルを利用 |
調査方法 | ネット方式による、アンケート調査 |
調査期間 | 2023年12月2日~5日 |
回収サンプル数 | 600 |
調査主体 | 株式会社エルテックス https://www.eltex.co.jp/ |
調査実施機関 | 楽天リサーチ株式会社 |
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