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通販・EC調査&コラム

2030年に向けた、あるべき通販システム構築とは?(通販通信ECMOコラムにも掲載)

2030年に向けた、あるべき通販システム構築とは?(通販通信ECMOコラムにも掲載)

世の中はEC、DXと騒がしいが、
15年間提供した通販・EC統合型システムがウケている理由

  1. 通販の主流はEC、様々な調査でEC市場の伸長が発表されていて今後も継続的な成長を遂げるだろう
    1. 経産省のレポートではBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、22.7兆円(前年比9.91%増)に拡大
    2. 広告市場においても、ネット広告がTV広告をとっくの間に追い越している(日本の広告費2023、電通)
    3. デジタル庁のテーマは「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」とはいうものの
  2. 2030年に向け、いけいけどんどん、でECシステムに投資すべきか?
    1. 通販事業者が事業のために投資した費用とは(※ECMO×エルテックス共同調査より)
    2. 通販・ECシステムを切り替えた理由(※ECMO×エルテックス共同調査より)
    3. 大中小の通販事業者がひしめくレッドオーシャンともいえるEC市場でのシステム投資
  3. 単品(サプリメント・化粧品)通販事業者の共通ともいえる課題
    1. 販売商品にもよるが、一般的に顧客に占めるシニア層の含有率が高く、EC比率が低い
    2. シニア層のメディア接触時間では、TV/新聞といった既存型メディアがネットより多い
    3. 電話注文も少なくない理由としてはオペレーターとのつながりがウェットということ
  4. 15年間提供している通販・EC統合型システムがウケている理由
    1. 中~大通販事業者で通販(電話、はがきなどのコールセンター機能)システムとECでシステムが分かれている事業者がなんと多いことか
    2. 複数システムを運用することでかさむ費用、思い通りできない販促活動
    3. 通販・EC統合型システム導入で多くの事業者が高効率を実感
    4. 2025年(1/3が65歳)問題を経て2030年に向けた、あるべき通販システムとは

1. 通販の主流はEC、様々な調査でEC市場の伸長が発表されていて今後も継続的な成長を遂げるだろう

(1)経産省のレポートではBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、22.7兆円(前年比9.91%増)に拡大

BtoC-EC(消費者向け電子商取引)イメージ

経済産業省は、「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、令和4年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、22.7兆円(前年20.7兆円、前々年19.3兆円、前年比9.91%増)に拡大しています。2013年には11兆1,660億円でしたので9年間で倍以上の市場規模になった事になります。
「物販系分野」にフォーカスしてみると、2021年は13兆2,865億円に対し2022年は13兆9,997億円となり5.37%増加しました。詳しくは、関連のレポートを参照いただきたいと思いますが、民間シンクタンクの市場予測でもEC市場の持続的成長は間違いのないものと考えられます。

経済産業省「日本の電子商取引市場の実態等について調査結果の取りまとめ」

(2)広告市場においても、ネット広告がTV広告をとっくの間に追い越している(日本の広告費2023、電通)

暇つぶしにスマートフォンでショッピングサイトをしばし閲覧した後に、閲覧したサイトの広告や検索した商品の関連商品が次々と広告表示される昨今、広告市場に目を向けてみると、ネット広告の伸長も目をみはるものがあります。
電通の発表によると、「2023年の日本の総広告費は、通年で前年比103.0%の7兆3,167億円となり、1947年の推定開始以降、前年に続き過去最高を更新。
その中で「インターネット広告費(1996年に推定開始)は、社会のデジタル化を背景に堅調に伸長し、前年から2,418億円増加して3兆3,330億円(前年比107.8%)と過去最高を更新し、日本の総広告費全体の45.5%を占めた」ということです。
一方4マスメディアの「テレビ、ラジオ、新聞、雑誌」の広告費合算は2兆3,161億円で日本の広告費全体の31.7%で、前年比96.6%と減少傾向となっています。
通信販売という小売り形態に関しては「EC」、販売を促す広告手段としては「ネット広告」ということで、相思相愛のような形で双方が成長している状況がうかがえます。

広告市場においても、ネット広告がTV広告をとっくの間に追い越している(日本の広告費2023、電通)イメージ

ただし、4マスメディアの広告費用は激減しているわけではなく、緩やかに後退している状態。ちなみに2023年は前年に対して、新聞▲5.0%、テレビ▲3.7%ですが、雑誌+2.0%、ラジオ+0.9%でした。TVに関しては微減です。後述しますが、60歳以上のシニアのメディア接触時間ではテレビが最も長く(博報堂生活総合研究所「生活定点」調査より)その傾向も激変ではないようです。

電通「2023年 日本の広告費」

(3)デジタル庁のミッションは「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」とはいうものの

デジタル庁のサイトを見ると、MVVと言われているミッション・ビジョン・バリューのミッションは「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」と書かれています。目標やそれに対する心意気は理解・共感し、DX化による恩恵は計り知れないメリットがあると考えますが、エルテックスの独自調査では、通信販売を経験している調査対象者のデバイス保有では、スマートフォンは9割を超えているものの、100%にはなっていません。スマホ保有=デジタル化、というわけではありませんが、デジタル化が好きではない、嫌い、ついていけない、わからない、という消費者の存在は否めないでしょう。または、デジタル大好き、でも、たまにはスマホの電源を落としてデジタルデトックスしつつ、ローカル線に乗ってゆったり旅をしたいものだ、と考えて実行している消費者もいるかもしれません。

ここでひとつ提言をしたいのが「通信販売の形態でEC化率が進むのはよろしいことだが、ノンデジタルの旧来型通販もある一定期間は、大切にかつ効率的に活用してはいかが?」ということです。

デジタル庁サイト

2. 2030年に向け、いけいけどんどん、でECシステムに投資すべきか?

(1)通販事業者が事業のために投資した費用とは(※ECMO×エルテックス共同調査より)

エルテックスでは2013年より通信販売に関する様々な視点での独自調査を行っており、通販通信ECMOとの共同調査もシリーズで実施してきています。
2019年には通販事業者に対して「通販・ECシステム(パッケージ、クラウド、ASPなど)の初期費用」を調査しており、調査対象者全体で、1,000万円以上~2,000万円(16.1%)と2,000万円以上~3,000万円(15.6%)という初期投資額がボリュームゾーンとなりました。年商別では、100億円以上事業者では、2億円以上の投資(35.5%)がボリュームゾーンで、相当の意気込みで事業を開始したことがうかがわれます。

調査時点での年商規模が1億円以上の通販事業者に在籍する244サンプルを対象に聞いています。

通販・ECシステム(パッケージ、クラウド、ASPなど)の初期費用グラフ

エルテックスDCサイトに登録していただくと、フルバージョンの調査資料をダウンロードできます。

(2)通販・ECシステムを切り替えた理由(※ECMO×エルテックス共同調査より)

2021年の調査では、通販システムの切り替え経験を調査しました。対象事業者全体では、3回切り替えた(24.0%)、2回切り替えた(22.7%)がトップ2ボックスとなっており、4回以上切り替えた事業者も10%という結果となりました。切り替えた理由も聞いていて、トップの理由は「事業が拡大し、システムが事業規模にあわなくなった(33.3%)」。年商100億円以上の事業者では「自社のサービスと通販システムがあっていなくて使いにくかった(37.8%)」がトップでした。
一方、切り替えたことがない・わからない、といった回答は22%でしたので、約8割の通販事業者が少なくとも一回以上はシステムを切り替えたことになります。

調査時点での年商規模が1億円以上の通販事業者に在籍する300サンプルに聞いています。

通販・ECシステムを切り替えた理由グラフ

エルテックスDCサイトに登録していただくと、フルバージョンの調査資料をダウンロードできます。

(3)大中小の通販事業者がひしめくレッドオーシャンともいえるEC市場でのシステム投資

上記の2つの調査は、すでに3~5年前のものとなってしまいましたが、公開した時から多くの資料ダウンロードしていただき、いまだにダウンロードされていますので、通販事業者の皆様の関心が高いテーマと言えるでしょう。
冒頭で記載しましたが、BtoC-EC(消費者向け電子商取引)の物販の市場規模は2022年で約14兆円となり、既存の通販事業者が成長している他、新規参入の事業者もかなりの数であることが推測されます。
こうしたBtoC-ECの成長は日本経済推進役のひとつとして喜ばしいものですが、事業者ごとに考えてゆくと、ECというレッドオーシャンの中で、競争戦略や成長戦略が求められますので、システム投資も様々な検討を重ねることが必須。調査結果から多くの事業者が1,000~3,000万円の初期投資をしたのであれば、減価償却の数年間で、その投資を回収する成果をあげなければならないという、厳しいマーケティング環境の中ビジネスを展開していることでしょう。

3. 単品(サプリメント・化粧品)通販事業者の共通ともいえる課題

(1)販売商品にもよるが、一般的に顧客に占めるシニア層の含有率が高く、EC比率が低い

シニア層家族イメージ

エルテックスの主力製品のひとつ、エルテックスDCは、様々な通販事業者(販売商品も多種多様)に導入いただいていますが、通販システム(テレビの通販広告から電話で注文を受けるコールセンターや、はがき注文に応じたりするなどの機能)とECシステムの双方を兼ね備えて持つ、国内でも多くはないシステムソリューションということもあり、単品(サプリメント・化粧品)通販事業者からの引き合いや導入がどちらかと言えば多い状況です。
単品事業者が販売している、サプリメントは機能性表示食品や特定保健用食品、化粧品も機能性化粧品の比率が多く、購入ユーザーは、どちらかといえば中高年以上、いわゆるシニア層が多くなっています。
そのせいか、「うちの通販はEC化率がすすんでいなくて・・・」と課題を吐露する情報システム担当者が少なくはありません。

(2)シニア層のメディア接触時間では、TV/新聞といった既存型メディアがネットより多い

広告会社大手の博報堂生活総合研究所では、「生活定点」調査を毎年公開していますが、シニア層のメディア総接触時間では、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌といった4マスメディアの合算が、パソコン、タブレット端末、携帯/スマホをはるかに上回っており、特に女性の60代では1日あたりのメディア総接触時間中の422.1分中225.3分がテレビとなっていて、総接触時間の5割(53.4%)を超えています。ちなみに、女性60代のパソコン、タブレット端末、携帯/スマホの合計接触時間は117.1分です。
60代男性では、パソコン、タブレット、携帯/スマホ合計の接触時間は同世代の女性より多い206.3分で、テレビは173.9分ですが、それでも3時間近くはテレビに接触していることになります。

性年代別メディア総接触時間グラフ

(2)電話注文も少なくない理由としてはオペレーターとのつながりがウェットということ

こうしたシニア層は、通販の注文方法でも特長が見られます。
エルテックスが全国の女性を対象に調査した、通販/ECでの注文方法で、パソコンからショッピングカートで注文したというユーザーは年齢層によってやや数値のばらつきはあるものの6割以上となっているのに対して、電話での注文は、年齢が上がるほどスコアは増え、60歳代では4割に迫ります(36.7%)。

サプリ/機能性化粧品購入者グラフ

電話注文した理由としては、フリーダイヤルでタダだから、という合理かつ経済的な理由がトップ(42.2%)でしたが、電話の方が簡単だからという理由と同スコアだったのが「電話だとオペレーターに確認や質問ができるから(39.1%)」という理由です。確かに、カート購入の際に質問があって、問い合わせをしてもすぐに回答が来るわけでもなく、すべてのEC上にリアルタイムチャット機能があるわけでもないですし、チャットが休止の時間も考えられます。

サプリ/機能性化粧品購入者グラフ

そのようなことを考慮すると、電話注文するユーザーはある程度オペレーターとのつながりがウェットで、特保サプリや機能性化粧品について口頭で確認したいニーズがある?そして、こうした消費者の応対に成功したら、長くお付き合いしてくれるのでは、と。

4. 15年間提供している通販・EC統合型システムがウケている理由

(1)中~大通販事業者で通販(電話、はがきなどのコールセンター機能)システムと
ECでシステムが分かれている事業者がなんと多いことか

定量的な話ではなく恐縮ですが、エルテックスに引き合いいただく通販事業者の多くが、通販システムとECシステムの統合が課題となっています。老舗の事業者では、通販システム構築が最初で、あとから別ECシステムを追加した。あるいは、ECシステムでスタートアップしたが、チャネルの拡大でコールセンター受注のために通販システムを追加したなど。
成長の過程で違いはあれど、2つのシステム、場合によっては基幹システムが別で3つのシステムを同時に動かしているといったケースも。

エルテックスDC導入のビフォアー&アフター

(2)複数システムを運用することでかさむ費用と作業時間、思い通りできない販促活動

こうした事業者では、異なるシステムを運用しなければならないので、各々のベンダーに対する運用費用はもちろんのこと、対応する担当者も、通販システムにログインしてオペレーション、それが終わったらECシステムにログインしてオペレーション、2つのデータをバッチ処理して基幹システムに同期させる、といった効率とは程遠い作業を強いられているようです。
また、通販で受注した顧客とECで受注した顧客に対して、なんらかの販促施策をやろう、といった時に取得しているデータが別々なので一括でできない!といったもどかしさも多分にあるようです。多くはMAツールを入れて、施策へ展開しているとは思いますが、よく聞くのが「マッピングが大変、手間と時間がかかる」「うまくマッピングできない」、だから「タイムリーな販促がやりにくいんです」といったぼやきです。

(3)通販・EC統合型システム導入で多くの事業者が高効率を実感

手前みそになりますが、別々の通販システムとECシステムを運用していた会社が、エルテックスDCに乗り換えて、運用面・販促面の効率が向上し、コストダウンにもつながったと実感されています。
エルテックスでは、EC・通販統合システムソリューションを展開していることに加え、統合システムと連動した多機能MAツールを提供していますので、通販事業の運用から販促まで一気通貫でご活用いただくことができるのです。

2024.4月時点でのエルテックスDC導入企業(事例紹介への承諾企業のみ掲載)

導入した事業者の感想はこちらから「エルテックスDCの導入事例」

(4)2025年(1/3が65歳)問題を経て2030年に向けた、あるべき通販システムとは

2024年問題は物流に関わるものですが、2025年問題は、「国民の3人に1人が65歳以上の高齢者、5人に1人が75歳以上の後期高齢者となり、少子化がさらに進む」という高齢化社会に拍車がかかるといった内容。
通販市場のEC化が進む将来像は間違いないものの、レッドオーシャンとなっているECに集中してシステム投資をするのは相当の覚悟が必要そうです。
今後増えるシニア層は、デジタル庁の言うところのデジタルに取り残されないユーザーとなり、PCもスマホも使いこなしてゆくのかもしれませんが、ある一定の割合で、4マスメディア、特にテレビで情報を得たり、純粋に楽しんだり、通販番組で買い物もするでしょう。
そうしたユーザーともウェットに応対できる通販システム(電話やはがき受注などにも対応)を効率的に運用しECも併せて成長させるシステム=EC・通販統合システムを導入することで、ある意味ブルーオーシャンな環境での通販ビジネスが展開できるかもしれません。

筆者紹介

企画室室長 六角 健二

ソニー系広告会社で、企画広告営業、マーコムプラニング、サイト設計・制作など多種業務を担当。2000年に米国大手インターネットコンサルティング会社レーザーフィッシュとのジョイントベンチャー、株式会社フロンテッジ・レーザーフィッシュの立ち上げメンバー、取締役としてインターネット活用のコンサルティングに従事。2013年にエルテックスに入社しエルテックスDCのUI設計のための調査、設計を実施。ECサイトのデザインリニューアルも多数手がけている。

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