ESG/SDGsは通販事業者にとってビジネスの重要課題

「通信販売事業関与者の実態調査2022」から読み解く通販/EC事業者のトレンド
そもそもESG/SDGsとは
意外と歴史は古く、ESGのはじまりは、社会的および環境的な側面を評価し、投資判断に組み込む考え方が起源です。ESGとは、Environment、 Social、Governanceの頭文字を取った言葉で、今後企業全般が取り組むべき課題と言ってよいでしょう。
Environment=環境の分野では、温室効果ガスの削減や森林・生物多様性の保全などが環境問題の解決に役立ちます。
Social=社会の分野では、児童労働の禁止やジェンダー平等の推進などが社会問題の改善に貢献します。Governance=企業統治では、不正や不祥事を避けるために透明性のある情報開示やコンプライアンスの徹底が必要です。これらの要素を考慮した持続可能な経営は、長期的な成果を生み出し、社会と環境に良い影響を与えることができます。こうした要素を意識して持続的な経営を行うことがESG経営と呼ばれています。
SDGs(Sustainable Development Goals)は、持続可能なよりよい社会を目指すための目標設定を分野ごとに決めたものです。近年、日本でもSDGsの注目度が高まっているのは周知の事実です。そのため、ESG経営の一環として、SDGsに取り組む企業が増えてきていますので、こうした流れが通販事業者の意識にも影響を与えているのだと推測されます。
通販/EC事業者の約3割はESG/SDGsをビジネス上の重要課題と認識
今回の通販事業者調査では、定点観測で実施している「ビジネス上重要と思うこと」の選択肢に、昨今話題となっている「ESGやSDGsの項目」を追加しました。通販事業者が重要視しているのは調査開始以降「売り上げの拡大(75%、2022年)」でそれ以外の項目のスコアが高いものの、ESG/SDGsについては回答者の約3割(32.7パーセント)が重要視していると回答しました。
一方、新型コロナの終息が見えてきたこともあり、感染症対策のスコアは21.7%まで減少してきています。

7割の事業者は今のところESG/SDGsに無関心?
一方、約7割の事業者は、ESG/SDGsを重要項目に選んでいません。選ばなかった理由では「通販やECビジネスには関係ない」「効果がわからない」が上位にあがっています。事業者の年商規模別の回答では、年商100億円以上で「対応方法がわからない」がトップの38.5%になっていて、年商規模により理由のばらつきがみられました。
ESGにしてもSDGsへの対応も、業種の枠を飛び越えてすべての会社が取り組むべき社会的な課題だと考えられますが、会社の経営陣が方向性を決めて、舵を切らないとなかなか進めるのが難しいでしょう。ESG/SDGsについて「会社で対応しないと決めている」との回答も約2割あり、通販/EC事業者の経営戦略や経営層の考え方が、こうした結果を反映したと言えるのではないでしょうか?

エルテックスDCサイトに登録していただくと、フルバージョンの調査資料をダウンロードできます。
フルバージョンでは、設問によって「年商別」または「職種(マーケ、オペレーション、情シス)別」のクロス集計なども掲載しています。
今回は「不正注文対策」「通販システム・EC導入の重視点」に関する調査も実施しました

EC・通販事業者の98%が何らかの不正注文対策を実施。対策で最も多いのは、不正注文検知システム(42.0%)
一般社団法人日本クレジット協会の調査によれば、EC化率が高まる中で、クレジットカードの不正利用被害は年々増加しています。(出展:一般社団法人日本クレジット協会 https://www.j-credit.or.jp/download/news20220630c1.pdf)
2014年に約114億円だった被害額は2021年には330億円になり、2022年度第一四半期(1~3月)ではすでに100億円となっています。
こうした状況を踏まえ、不正注文に対する対策を質問したところ、何らかの対策を実施しているとの回答が98%超となりました。導入している対策は、「不正注文検知システム(42.0%)」「3Dセキュア(39.0%)」「注文を目視でチェック(34.3%)」がトップ3。
本項目は株式会社コマースピックとの共同調査です。

EC・通販システム導入時の重視点で、100億円以上の事業者では「ソフトやサービスの機能の充実度(57.1%)」がトップ
通販の販売管理システムや、ECシステムの導入時の重視点では、「導入や運用のコスト(56.7%)」が全体トップとなっていますが、年商別では100億円以上の事業者で「ソフトやサービスの機能の充実度(57.1%)」がトップとなり、売上の多い事業者では高機能なソフトや関連サービスが求められている様子がうかがえます。
年商100億円以上の企業で「スタッフの技術力(34.3%)」が重視点として選択されているのも、技術的にも高度な対応が必要、という理由からなのでしょう。

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フルバージョンでは、設問によって「年商別」または「職種(マーケ、オペレーション、情シス)別」のクロス集計なども掲載しています。
調査概要
調査エリア | 全国 |
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調査対象者 | 楽天リサーチ保有の調査パネル(ビジネスパネル) 年商規模1億円以上(1~10億円未満:111、10~100億円未満:88、100億円以上:101)の通販事業に携わる1~3の職種の、会社役員、社員、派遣社員、個人事業主
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調査方法 | ネット方式による、アンケート調査 |
調査期間 | 2022年6月30日~7月4日 |
回収サンプル数 | 300( 調査対象者 1.マーケ:100 2. 業務 :100 3. 情シス :100 ) |
調査主体 | 株式会社エルテックス https://www.eltex.co.jp/ |
調査実施機関 | 楽天リサーチ株式会社 |
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