化粧品や健康食品の「定期購入」迷う?迷わない!

「通信販売・消費者調査2021」から読み解く通販/EC消費者トレンド
化粧品、サプリメントでよくある定期購入、どうしてる?
健康食品や機能性化粧品の通信販売では、定期的に購入すると、1回のみで購入するより購入単価が安くなったり、送料が無料になったり、これら双方が適用されることが良く見受けられます。
こうした定期購入に関して、実際に購入する際に、消費者はどのような意識で定期購入したり、「いやいや、今回は一回だけの購入で様子を見よう」などと決めているのか?
ということで、健康食品や機能性化粧品の近似商品「健康食品・サプリメント・薬」を購入したユーザーに質問してみました。
定期購入の提示がある場合6割が定期で購入
結果は、「迷って定期購入」「迷わず定期購入」、「迷わず一回購入」がそれぞれ約3割と、肩を並べました。一方、「定期にするか迷って、1回購入」は6.6ポイントと他の選択肢に比べかなり低い数値となりました。
複数回答のため、過去に複数回購入したことがあるユーザーでは、「購入する商品、価格、お気に入り度合い」などで1ユーザーが異なる選択肢を選んだ可能性がありますが、6割が定期を購入、「定期で価格が安くなる」「ある適度続けないと、期待の効果は得られない」などの魅惑的かつ、説得要素があるといえども、強い?意思で迷わず1回購入も3割です。

定期購入で悩んだユーザーの決め手は「単価が安い」
「一定期間使わないと効果が得られない」と自分で考えた
定期購入するか1回のみの購入にするか、かなり悩んだユーザーに限って、結局定期で購入した決め手について質問をしました。
複数回答のため、1ユーザーが複数選択している可能性がありますが、「単価が安い(60.3)」「一定期間使わないと効果が得られない(53.4)」といったことを自分で考えたことが、決め手のトップ2ボックスとなりました。
サイト上などで安いことが提示されていた(50.0)、一定期間使ったほうが良い(22.4)といった事業者側のアピールも決め手となっていますが、ユーザーはどちらかというと、自分で考え、主体的に定期購入を決めているようです。

今回の調査では、あまり深い質問はしませんでしたが、インターネットやスマホの普及により情報が溢れ、情報と対峙する時間が極端に増えた現代人にとって、以下のような現代人特有の心理も定期通販にする理由があると推測されます。
- 定期購入は、毎回注文する手間を省くことができ、特に、日用品や消耗品などの商品を定期的に購入する際に便利。一度登録してしまえば、自動的に商品が届くので、買い物のための時間と労力を節約することができるので、SNSに費やす時間を作ることができます。
- 忙しい日常生活の中で、必要な商品を、うっかり購入し忘れることがあります。定期購入は、商品が自動的に送られてくるため、その心配をする必要がなくなります。
当たり前と言えば当たり前ですが、通販でモノを購入することが、昨今では特に特別なことではなく、普通の購買行動のひとつになっているとも言えます。ですので、こうしたことを暗示的に考えていて、定期購入やサブスクリプションの利用が増えているとも言えるでしょう。
エルテックスDCサイトに登録していただくと、フルバージョンの調査資料をダウンロードできます。
フルバージョンでは、設問によって「年商別」または「職種(マーケ、オペレーション、情シス)別」のクロス集計なども掲載しています。
今回は「EC決済方法の利用意向」「通販/EC利用経験者の保有機器」に関する調査も実施しました
潮目が変わりつつある?EC決済
EC決済方法の利用意向で、「その他決済(○○ペイ)」「キャリア決済」が昨年比で伸長
ECサイト上での決済について、今後使いたい方法(利用意向)を昨年に続き本年も調査。「クレジット決済」「コンビニエンス決済」に続いて「その他決済(Amazonペイ、LINEペイ、楽天ペイなど)」がトップ3ボックスとなりましたが、クレジットとコンビニエンス決済が昨年比でやや減少。その他決済の「○○ペイ」が2.6ポイント増加、さらにキャリア決済が2.5ポイント増加という結果となりました。
利用意向上昇のPayPayは4,200万人以上が登録
その他決済方法での利用意向では、昨年同様「PayPayオンライン」「Rペイ」がトップ2ボックスとなり、PayPayオンラインは昨年比で3.8ポイント増加し人気が高まっています。一方ポイントを下げたのは「Amazon Pay(▲9.0)」でした。
○○ペイ?と聞いて多くの人が、PayPayと答えることかと思います。
テレビCMや店頭での広告が他社に比べて目立っていることもありますが、運営事業者のソフトバンクでは、「PayPayは4,200万人以上(2021年9月時点)の登録者を有する国内最大級のキャッシュレス決済サービス」とプレスリリースでも発表しており、こうした新たな決済方法の普及によりE決済も潮目が変わってきたようです。

コロナ感染症や政府の後押しも追い風に
新型コロナウイルスの流行により、現金の使用を避ける傾向が高まりました。キャッシュレス決済は、接触を最小限に抑えながら支払いができるため、この時期においてもPayPayの普及が進みました。日本政府はキャッシュレス社会の推進を図る政策を推進しており、その一環としてキャッシュレス決済サービスへの利用を奨励し、地方自治体なども支援金の負担をして、消費者への普及を促しています。このような政策の影響もあり、キャッシュレス決済サービスが広まる一因となっています。通販利用経験者の保有機器、スマートフォンが9割越え
年々増加するスマホの保有率
通販やECを利用したことがあるユーザーに対して、個人で保有している、または家庭内で使うことができる機器について質問したところ、スマートフォンが90.2ポイントと9割を超えました。一方、フィーチャーフォンは9.5ポイント(前年比▲4.8ポイント)、と1割を割り込み、パソコンは73.3ポイント(前年比▲3.5ポイント)と減少傾向が続いています。

増加傾向だったAIスピーカーは伸び悩み
AIスピーカーは昨年まで緩やかな増加傾向でしたが今年は7.3%で、前年比▲1.4ポイントとなり、普及は今一歩といった状況。マーケティングで「キャズム」という理論があります。キャズムとは、ロジャースのイノベーター理論をもとにジェフリー・ムーア氏が1991年に提唱したもの。「深い溝」という意味で、顧客に新しい商品やサービスを浸透させる際に発生する大きな障害、乗り超えるべき溝、谷、裂け目のことを指します。
以下の図で、16%のところがキャズム(深い溝)で、この溝を超えるとその商品は普及してゆくと一般的に言われています。

アーリーアダプターも購入を躊躇?AIスピーカー
イノベーターは新しい技術や製品に対して非常に興味を持ち、リスクを取ることに抵抗がない初期の採用者。彼らは新しいものを試してみることに魅力を感じます。そしてアーリーアダプターは、イノベーターの次に来るセグメントで、新しい技術や製品に対して関心を持ち、先駆的な取り組みを行うユーザー群ですので、AIスピーカーはこうした特徴を持つ消費者が購入しているものの、このグル―プの中でも、やや購入が足踏みしている状態です。
アーリーマジョリティーは、上記2グループの成功を見て、新しい技術や製品を導入することに抵抗が減少してきたユーザーたちです。安定性や信頼性を求める傾向があり、費用対効果に納得感が無いと、その商品には手を出さないといった傾向もあるようです。
ちなみにスマホの保有率が9割超えということは、技術の変化に対して非常に消極的なセグメント。新しい技術や製品に対する関心は低いといった特性のラガード群まで購入・利用しているという普遍的な危機となったことの証左となります。
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フルバージョンでは、設問によって「年商別」または「職種(マーケ、オペレーション、情シス)別」のクロス集計なども掲載しています。
調査概要
調査エリア | 全国 |
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調査対象者 | infoQ by GMO調査パネルを利用 |
調査方法 | ネット方式による、アンケート調査 |
調査期間 | 2021年11月26日~30日 |
回収サンプル数 | 600 |
調査主体 | 株式会社エルテックス https://www.eltex.co.jp/ |
調査実施機関 | 楽天リサーチ株式会社 |
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