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通販・EC調査&コラム

通販事業者がさじを投げた!?「使えない」EC関連サービス

通販事業者がさじを投げた!?「使えない」EC関連サービス

「通信販売事業関与者の実態調査2024」から読み解く通販/EC事業者のトレンド

期待していたのに「使えない!」EC関連サービスを調べてみました

エルテックスでは、通販とECを統合したソリューション「エルテックスDC」の開発及び販売、導入を行っています。
このエルテックスDCにつかず離れず、DCで取得したデータをフル活用して、通販やECに関連したデータの集計・分析とそれに基づく打ち手(メール送信、レコメンド、WEB接客など)を提供する多機能MAツール「エルテックスCX」も販売、導入をしています。
エルテックスCXは導入したお客様からは評判がよく、成果が上がった、作業の効率化ができた、などという嬉しいお言葉をいただいています。
が、実際のところ、こうしたMAツールやその他のEC関連サービスについて、通販事業者、とりわけEC事業者の皆様はどのように評価されているのだろう?ということで、毎年行っている通販事業者向けの定期調査内で調べることにしました。
どうせ調べるのであれば、「導入に失敗した、解約した、EC関連サービスは何?」といった、マイナスの方向性からのアプローチにしよう、ということで実査に至りました。

失敗した、解約した、EC関連サービスのトップは「メール送信」

EC関連サービスで、「導入に失敗した、解約した」のトップは「メール(メール送信)、20.7%」で、「サイト内検索、20.0%」「アンケート、19.0%」が続いてゆきます。
調査前、導入失敗・解約が多いのは、「導入初期費用や運用費用が高い」「ちょっと難しい」「社内で使いこなせない」EC関連サービスではないか?と仮説を立てていましたので、調査結果を見て少し驚きました。トップ3ボックスのサービスは、ある意味古典的なECサービスで、多くの事業者が使ったことがありそうなものばかり。
少なくとも私が個人的に、使い方が難しそうだと思う「BI(ビジネスインテリジェンス)」は14.7%、「MA・CRM」に至っては11.3%と選択肢にした項目の中で一番スコアが低くなりました。

質問項目)

ECサイトにSaaS型(クラウド上で提供されているものなど)またはオンプレミス(自社サーバーなどにインストールするなど)で利用する有料ツールで「導入に失敗した、使えなくて契約を解約した」ものがありましたら、いくつでもお選びください。(複数回答)

有料ツールで「導入に失敗した、使えなくて契約を解約した」ものグラフ

メール送信導入の失敗・解約の理由トップは「効果が出なかったから(25.8%)

導入に失敗した、使えなくて解約したEC関連サービストップの「メール送信」の理由としては、「効果が出なかった(25.8%)」「利用料が高かった(24.2%)」が2トップボックス。効果が出ない上に、利用料が高いといったことで、サイト内検索とは0.7%違いの僅差ではありますが、使えないEC関連サービスのトップとなりました。
メールはインターネット創成期から使われているコミュニケーション手段であり、一時期はメールマーケティングが販促手段の必須手段ともなっていましたので、使ってみる事業者は多いものの、少なくとも2割の事業者で成功に至っていないといった実情がわかりました。

質問項目)

あなたがECサイトにSaaS型またはオンプレミスで追加して利用するツールで「導入に失敗した、使えなくて契約を解約した」理由であてはまるものを、いくつでもお選びください。(複数回答)

「導入に失敗した、使えなくて契約を解約した」理由グラフ

また、ベンダーのサポートが良くない・無かった、を選択した回答者も4人に1人ですので、メール送信サービスに取り組む場合は、こうした点も留意してサービスを検討した方が良いでしょう。
一方、メール送信でも「シナリオメール、ステップアップメール」については、失敗・解約が13.7%となっており、単なるメール送信より低いスコアになっていますので、ひと工夫あるサービスであるがゆえに「こちらの方が、効果が出た」「失敗したとは感じない」「なので、解約もしなかった」のではないでしょうか。

エルテックスDCサイトに登録していただくと、フルバージョンの調査資料をダウンロードできます。

フルバージョンでは、設問によって「年商別」または「職種別」のクロス集計なども掲載しています。

今回は「通販/ECシステム導入の重視点」に関する調査も実施しました

通販事業者に聞いた通販/ECシステム導入の重視点

通販・ECシステム導入の重視点は年商規模に関わらず「初期コスト・運用コスト」

通販/EC統合型のシステムの製造・販売・導入支援を主要業務としているエルテックスにとっても、通販事業者がどのような項目を重視して、システムを導入するのか、大きな関心事です。
通販/EC事業者が、通販の販売管理システム、ECシステムを選択する際の重視ポイントのトップは、「導入や運用のコスト(全体:29.2%)」で、特に年商が1億円~10億円未満といった規模の事業者では40.6%と、最もスコアが高くなりました。
50億円以上の年商規模の事業者でもトップは「初期コスト・運用コスト」ですが、私の個人的な感覚から言わせていただくと、ある程度の年商規模になっている事業者では、同機能・同品質のシステムであれば安い方を選択する、といったことも含めて「コスト重視」ということかと思います。
年商50億円以上の事業者で、他の年商規模と最も異なる数値が出たのは「希望の納期への適用力(14.9%)。平均値と比較して+5.7ポイント、年商規模5億~50億円未満と比較して+8.6ポイント。こちらも、エルテックスのお取引先から聞こえてくる話として、規模の大きさから計画通りにシステムの構築や移行が進まないと、事業計画や、上場企業は株価に影響がある、といった危惧などが背景にあるから、といった理由が大きそうです。
一般的には生産活動におけるQCDの優先順位は、Quality(品質)>Delivery(納期)>Cost(コスト)と言われています。しかしながら、通販市場に流通している、いわゆる名の知れた通販やECシステムは一様に質が高いと考えられますので、質が同レベルのシステムのさらなる比較材料として、納期、コストは、その会社の置かれている立場によって優先順位が変わるのだと思われます。

質問項目)

あなたやあなたの会社が、「通販の販売管理システム、ECシステム(パッケージ、クラウド、ASPなど)」の導入を決定した際に重視した項目の中で最も重視したものをひとつだけお選びください。(単一回答)

導入を決定した際に重視した項目の中で最も重視したものグラフ

エルテックスDCサイトに登録していただくと、フルバージョンの調査資料をダウンロードできます。

フルバージョンでは、設問によって「年商別」または「職種別」のクロス集計なども掲載しています。

調査概要

調査エリア 全国
調査対象者 楽天インサイト保有の調査パネル(ビジネスパネル)
年商規模1億円以上(1~10億円未満:76、10~50億円未満:130、50億円以上:94)の通販事業に携わる1~3の職種の、会社役員、社員、派遣社員、個人事業主
1.マーケティング・広告・宣伝
2.業務(受注、決済、配送、その他の業務)
3.情報システム
調査方法 ネット方式による、アンケート調査
調査期間 2024年6月29日~7月1日
回収サンプル数 300( 調査対象者 1.マーケ:100 2. 業務 :100 3. 情シス :100 )
調査主体 株式会社エルテックス https://www.eltex.co.jp/
調査実施機関 楽天インサイト株式会社

筆者紹介

企画室室長 六角 健二

ソニー系広告会社で、企画広告営業、マーコムプラニング、サイト設計・制作など多種業務を担当。2000年に米国大手インターネットコンサルティング会社レーザーフィッシュとのジョイントベンチャー、株式会社フロンテッジ・レーザーフィッシュの立ち上げメンバー、取締役としてインターネット活用のコンサルティングに従事。2013年にエルテックスに入社しエルテックスDCのUI設計のための調査、設計を実施。ECサイトのデザインリニューアルも多数手がけている。

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