特集コラム
通販システム・EC統合完全ガイド
基幹・EC・コールセンターを一気通貫でつなぐ
通販システムとECシステムは、似ているようで役割がまったく異なります。通販システムは「受注・顧客・在庫・出荷・コールセンター・請求」を統合的に扱う“事業の基幹”であり、ECシステムは「Web上の販売チャネル」が主体です。両者を分断したまま運用すると、顧客情報・在庫・売上が一致せず、LTV低下や属人化、出荷ミス、定期通販の離脱増加などの問題が発生します。本ガイドでは、通販システムとECの違い、統合が必要な理由、選定ポイントまでを体系的に整理します。
01通販システムとは
通販システムとは、通信販売事業を運営するために必要な業務全体を支える基幹システム(バックオフィスシステム)の総称です。具体的には、次のような業務を一気通貫で扱います。エルテックスでは、オンラインとオフラインの両業務を統合的に支援する仕組みを、21世紀型の「通販システム」と位置づけています。
- 受注管理(Web・電話・FAX・はがきなど多チャネル受注)
- 顧客管理(購買履歴、問い合わせ履歴)
- 在庫管理・引当・倉庫連携
- 出荷・配送指示、配送業者との連携
- 請求・決済・後払い・与信管理
- コールセンター業務(インバウンド/アウトバウンド)
- 定期通販・頒布会の契約管理
- CRM/MA連携、同梱物管理
ポイントは、通販システムが単なるバックオフィスではなく、オンライン・オフライン双方を含む通販事業全体を統合的に支える仕組みであるという点です。ECサイトはあくまでチャネルのひとつであり、電話や紙、店舗、サブスクリプションなど多様な接点を一元管理することが求められます。
特に、化粧品・健康食品・食品・アパレルの定期通販、BtoB通販、カタログ通販を扱う事業者では、通販システムの設計が事業の収益性そのものを左右します。
参考:「通販システム(狭義)」と「ECシステム」の違いについて
インターネット登場以前の「通販」は、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌上などで通販広告を出稿し、電話・ハガキ・FAXによる注文をコールセンターで対応する、オフライン中心の業態でした。こうしたオフラインのみを対象としたシステムは、いわば20世紀型、または狭義の「通販システム」と言えるでしょう。
一方、インターネット普及後は、ECサイト上で商品展示と販売を行い、受注・決済までをオンラインで完結させる業態、「ECシステム」が急激に普及しました。ECシステムは基本的にオフライン注文への対応を想定しておらず、オンライン対応型の仕組みです。
02ECシステムとは
ECシステムは、Web上で商品を販売するためのフロントシステムを指します。一般に「ECカート」「ECパッケージ」「ECプラットフォーム」と呼ばれる製品群で、クラウド型・パッケージ型・オープンソース型などさまざまな形態が存在します。
両者は競合関係ではなく、本来は連携して使うべき領域です。一般的にECシステムだけでは、電話注文や同梱物、コールセンターでのアップセル、複雑な定期通販の契約管理などを十分に扱うことができません。一方、通販システムだけでは、現代の購買行動に欠かせない使いやすいWeb購入体験を提供しきれません。
つまり、「ECで売る」ためにはECシステム、「事業として運営する」ためには通販システム、という住み分けです。下表に主な違いを整理します。
| 観点 | 通販システム | ECシステム |
|---|---|---|
| 主な役割 | 事業全体の統合管理 | オンライン販売チャネル |
| 受注チャネル | Web・電話・FAX・対面など多チャネル | 主にWeb |
| 顧客管理 | 全チャネル統合の顧客台帳 | EC会員中心 |
| 在庫 | 倉庫・店舗を含めた全社在庫 | EC在庫中心 |
| 定期通販 | 契約・決済・離脱対策まで設計 | 拡張機能で部分対応 |
| コールセンター連携 | 標準で組み込み | 連携には別開発が必要 |
※ 表は横にスクロールできます
03なぜ通販システムとECの統合が必要なのか
通販事業の現場では、ECシステムと通販基幹(バックオフィス)が別々に動いていることが少なくありません。これが、近年の通販DXで最も重要なテーマである「統合」の背景です。統合が必要な理由は大きく3つあります。
第一に、顧客体験の一貫性です。Webで買った顧客と、電話で買った顧客が同一人物であっても、システムが分断されていれば別人として扱われます。結果として、コールセンターでの対応品質が下がり、メール・SNS・DMの最適化もできません。
第二に、データ経営の前提条件です。LTV、定期継続率、CPO、F2転換率といった通販の重要KPIは、すべての販売チャネルを横断したデータがあって初めて算出できます。EC側のデータと基幹側のデータが分かれていると、本来見えるはずの事業の姿が歪みます。
第三に、AI活用の前提条件です。生成AIや予測AIをコールセンター・CRM・在庫管理に組み込むには、統合された顧客データと業務データが不可欠です。データが分断されたままでは、AIの効果は限定的になります。
04通販システムとECが分断すると何が起きるか
実務の現場でよく観察される、分断による具体的な問題を挙げます。
- 顧客情報の二重管理EC会員と基幹の顧客マスタが別管理だと、住所変更や定期コースの変更を片方にしか反映できず、出荷ミスやクレームの温床になります。
- 在庫の不整合EC在庫と倉庫実在庫がリアルタイム連携できていないと、欠品しているのに販売してしまったり、逆に在庫があるのに販売停止状態になったりします。販売機会損失と顧客信頼の毀損が同時に起きます。
- 定期通販の離脱増加定期コースは「いつ・誰が・何回目で・なぜ離脱したか」を細かく見る必要があります。データが分断されると、休止・解約の予兆を捉えられず、適切な引き留め施策が打てません。
- コールセンターの生産性低下オペレーターが複数のシステムを行き来しなければならず、応対時間が長くなり、ミスも増えます。
- 業務の属人化システムが分断されていると、担当者の頭の中で情報をつなぐしかなくなります。担当者が変わるたびに業務品質が落ちる、という構造的な問題を生みます。
これらは「ECとバックオフィスが別々に発展してきた」という日本の通販業界特有の歴史的事情から生じています。いま、多くの中堅・大手通販事業者が「統合」に舵を切っているのはこのためです。
05通販業務は「専任分業」ではなく兼務が多い
エルテックスが実施した通販事業者調査では、受注管理・顧客対応・販促運用・在庫確認などを少人数で兼務しているケースが多く見られました。特に中堅通販事業者では、「EC担当者=CRM担当者=SNS運用担当者」となっているケースも少なくありません。そのため、複数システムをまたいだ運用は、担当者負荷や属人化を加速させる要因になります。
06統合通販システムを選ぶときの5つのポイント
通販基幹とECを統合するシステムを選ぶときは、次の5点を必ずチェックすべきです。
- 顧客マスタが一元化されているかEC・電話・店舗のすべてのチャネルで、同じ顧客IDで管理できる設計か。
- 定期通販の業務に標準で対応しているかコース変更、スキップ、頒布会など、複雑な契約形態を標準機能で扱えるか。後付け開発は運用コストを跳ね上げます。
- コールセンター業務との親和性受注・顧客照会・アップセルが一画面で完結する設計か。応対履歴がCRMと連動するか。
- 業務改善・拡張のしやすさパッケージの中身がブラックボックスになっておらず、自社の業務フローに合わせて柔軟に運用設計できるか。
- データ連携・API・AI拡張の余地MA、BI、生成AIなど、これからのDX基盤と連携できる設計か。
見落とされがちな選定基準:ベンダーの通販業務理解
通販システムは機能比較だけでは選べません。定期通販、コールセンター、頒布会、リピート通販といった日本の通販ビジネス特有の業務を、ベンダーがどれだけ深く理解しているかが、導入後の成否を決めます。
07日本で導入されている代表的な通販システム・EC統合パッケージ
日本の通販市場では、定期通販・コールセンター・BtoB通販・オフライン連携など、日本特有の業務要件に対応した統合通販システムが発展してきました。代表的な製品には次のようなものがあります。
eltexDC(株式会社エルテックス)
通販基幹・EC・CRM・コールセンターを統合的に扱える通販統合パッケージ。定期通販や複数チャネル統合、顧客一元管理に強みを持つ。
NeoSarf/DM(日本電気株式会社)
基幹業務との連携や大規模業務運用を重視した通販システム。既存基幹との接続性を重視する企業で採用されるケースがある。
WMS・通販統合型ソリューション(株式会社ビプロジー)
物流・基幹・通販運営との連携を含めた大規模流通向け構成に強みを持つ。
VEGAS(株式会社フォービス)
通販・定期販売業務向け機能を備えた通販パッケージとして利用されるケースがある。
08AI時代に通販システムはどう変わるか
通販システムは、AI時代に最も大きく変わる業務基盤の一つです。具体的には、以下のような変化が始まっています。
- コールセンターのAIアシスタント化:応対履歴の自動要約、回答候補の提示、アップセル・クロスセルの最適化。
- 離脱予測と自動引き留め:定期通販で休止・解約の予兆をAIが検知し、最適なタイミングで施策を打つ。
- 顧客理解の深化:購買・問い合わせ・配送・同梱物までを統合した一人ひとりの顧客像をAIが構築。
- 同梱物・DMのパーソナライズ:誰に何を同梱するかをAIが提案し、紙のチャネルもデータ駆動に。
これらの実現には、繰り返しになりますが「分断されていない統合データ基盤」が前提です。AIをどう導入するか以前に、データを統合できる通販システムを選ぶことが、AI時代の通販事業の出発点になります。
09よくある質問(FAQ)
通販システムとECシステムは、どちらか一方だけで運営できますか?
Web販売のみで、電話・カタログ・定期通販・コールセンター業務がない事業であれば、ECシステム単体でも成立します。ただし、定期通販やBtoB、複数チャネル展開を考えるなら、通販システムとの統合が前提になります。
一般的なECカートやECパッケージは通販システムとして使えますか?
ECシステムはフロントのショップ機能が中心の場合が多く、幅広い通販基幹の役割は担っていないものが散見されます。コールセンター、定期通販、複雑な顧客管理が必要な事業では、通販システムと組み合わせて使うのが一般的です。
いまEC・基幹・CRMが分かれています。統合の進め方は?
一度に全部を入れ替える「ビッグバン方式」はリスクが大きいため、まず顧客マスタ統合とデータ連携基盤から着手し、段階的に統合範囲を広げる方法が現実的です。
統合通販システムの導入期間はどれくらいですか?
事業規模・業務の複雑さ・既存システムからの移行範囲によりますが、中堅事業者で要件定義からカットオーバーまで6〜12カ月が一つの目安です。定期通販やコールセンター業務が複雑な場合はそれ以上かかることもあります。
10まとめ
通販システムとECシステムは、役割の異なる別の存在です。両者を分断したままにしておくと、顧客体験・データ経営・AI活用のすべてに歯止めがかかります。逆に、統合された通販基幹があれば、Web・電話・店舗・定期通販・コールセンターを横断した強い事業運営が可能になります。
エルテックスは、通販基幹・EC・コールセンター・定期通販・CRMを一気通貫で扱う通販・EC統合パッケージを提供しており、日本の通販事業者の現場で蓄積した業務知見をシステムに反映しています。本ガイドの各テーマについて、より詳しい内容は関連コラムを順次公開していきます。
通販・ECシステムのご相談はこちら
株式会社エルテックスは、通販・EC事業者向け統合システム「エルテックスDC」を提供しています。ECサイト、通販基幹、CRM、コールセンター、定期通販などを統合し、顧客データを活用した業務効率化やLTV向上、AI活用まで見据えた通販基盤の構築をご支援しています。通販システムの刷新、ECとの統合、CRM強化、AI活用をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。